野見山研究室談義1:オランダ型農業の未来と地産X(エックス)消という考え方について

先日、久しぶりに東京農工大学を訪れ、野見山敏雄先生や卒業生・在校生と色々語り合ってきました。その中で興味深い考えをいくつかお聞きすることができたので紹介したいと思います。

 

1.オランダ型農業の未来

「現在、総合的環境制御システム、品目の限定、大規模化、栽培と経営両面のIT化によって効率的経営を行う、いわゆる「オランダ型農業」が注目を集めているが、化石燃料を利用して経営を回している限り、持続的な発展は見込めないと思う。

最終的に残るのは、たとえアウトプットは高くなくとも、インプット(*1)が非常に低い、あるいはプラスの農業スタイルが最終的には生き残るのではないだろうか」

確かに、施設園芸は一般に露地栽培よりも多くのエネルギーを利用します。しかし、現時点でどの程度多くのエネルギーが利用されているかは、オランダの施設園芸の実情を知る機関か人に確認する必要があると思いました。ネットで調べた限りでは、多くのエネルギーを消費しているとは限らないと思ったためです。

以下の資料(池田英男、8ページ、公開日:Jun-2009?)では、

「自国産天然ガスの埋蔵量に不安が出ている今,この方式がこれからも主流になるかどうかはわからない」http://www.fc.chiba-u.jp/plant%20factory/project_plant/Holland_Ikeda.pdf

と、オランダ型農業が多くの化石燃料を利用していることを示唆してる一方で(「この方式」とはトリジェネのことです)、以下の資料ではそれぞれ

「積極的にCHPを稼働させ売電により利益を得ているが、ハウスで栽培される生産物の利益より売電の利益の方が多い人も多く見られる。」http://www.tms-soc.jp/journal/TMS_12_Saitoh-a.pdf (斉藤章、2ページ目、公開日不明)

(ジオサーマルエナジーの記述の中で)「一般的にはCHPでによって熱を作り、排ガスのCO2を温室内に施肥し、電気を売電していますが、近年の天然ガス価格の高騰により注目を集めています」http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/pdf/kaisi2.pdf (Hiroyuki Imai、29ページ目、公開日:2012年)

と、トータルでみれば電力消費量は多くない可能性がある、新技術によりこの問題を解決しようとしていることが示唆されています。

個人的には、オランダ型農業に関わっている方も持続可能性については考えていると思うので、低エネルギーで栽培する技術が開発されるか、開発されないにしても他国よりも早くこの問題に取り組み、解決策を見つけるのではないかと思いました。その解決策、今注目されている「オランダ型農業」と異なる形になる可能性はあると思います。

ただ、長期的な視点に立った時の農業のあり方として、効率性をひたすら追求するのではなく、持続的発展性とローコストオペレーションを最優先に考えるスタイルが支持を得るかもしれない、とこの考えを聞いて思いました。

*1:エネルギーという意味で話されていましたが、それ以外のコストも含めて解釈しても、興味深い意見だと思います。


2.「地産x消という考え方」

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地産地消を発展させた考えで、「従来の地産地消だけでなく、地産学消(地域で作ったものを学校給食で消費)、地産燃消(地域で作ったものをバイオマスなどのエネルギーとして活用)、地産宿消(地元の宿泊施設で利用)、地産加消(地元の食品加工業に利用)、地産外消(海外へ輸出)、地産都商(都市部へ運搬)など、多方面で地域農作物を活用数することを考え、地域活性化につなげる」という、野見山先生のアイデアです。

それぞれの取り組みは、どこかですでに行われていそうなものですが、それらをキャッチーに説明する言葉として面白いと思いました。

以下のサイトの「3. 街の中央にグリーンハウス」で、地産燃消の取り組みの一例が紹介されています。

攻めの農業を中心としたスマートビレッジの実現を目指そう : 富士通総研

 

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