野見山研究室談義2:沖縄農業の将来と日本の博士課程を終了した学生の価値について

前回の投稿「野見山研究室談義1:オランダ型農業の未来と地産X(エックス)消という考え方について - Kensaku Okada (岡田健作)Blog」の続きです。

 

3.沖縄の将来について

「ただでさえ後継者問題で将来が危ぶまれているのに、TPPが妥結したら海外から超安価な砂糖が手に入るので、沖縄のサトウキビはさらに衰退してしまうだろう。そうなると、農業者人口が減少し、農業資材業者、種苗業者などの関連事業も縮小するだろう。ーーー中略ーーー以前、沖縄を訪問した時、沖縄の農業は衰退し沖縄JAの仕事は減っていなるにもかかわらず、職員数は減っていなかった。「雇用を守るため」というのが理由だそうだ。他の業界で働いている方々からは「とんでもない」という意見が出そうだが、国防上の理由から必要だという考え方もある。」

沖縄の人口が減れば、他国から人間が来て、実質的に外国に支配される可能性がある、という考えに基づいた意見です。「さすがにそれは考えすぎだろう」と思いましたが、沖縄の人工を維持し、県として衰退させないためには必要なことかもしれない、と思いました。

私は「そもそも問題なのは、沖縄のサトウキビ産業が海外の砂糖に対抗できるほどの価格競争力を持てていないことがであるのだから、余計な管理コスト(=余計な人件費)は排除し、技術革新や区画整備など、沖縄の農業を競争力を高める取り組みに投資するべきだ」と思っていたのですが、人口減少がコミュニティに与えるインパクトが分からないのなら、短絡的に判断すべきではないと思いまいした。

人口が減りすぎれば、警察、消防、インフラ、小売り、流通などを担当する人も減り、生活するのに必要な産業までも機能しなくなってしまう危険性も出てくるので、地域の存続を考えれば、一概に効率化を追求すればよい、という問題ではない、と思いました。実際、山形県のある町でなすがままに人口減少を放置した結果、人口が20分の1になり限界集落化してしまったそうです。

 

4.日本の博士課程を終了した学生の価値

「現在、環境省における博士課程の学生の採用人数はおおよそ3年に1人である。個人的には、この数をもっと増やしたいと思っている。なぜなら、ロジカルな議論をしたときに、多少の批判では折れない思考力とタフさを持っている人が多い傾向にあるからだ。大学の研究において、教授などの指導者から多様な突っ込みを受けテイク中で、そのような攻撃に対する抵抗力がつくのだと思う。

しかし、現在の人材採用制度では、博士課程を修了した学生は比較的職を得にくい状況にあると思う。それを改善するために、博士課程に進んだ学生には、1年目から企業のインターンシップや懸賞論文などに参加させたり、仮社員として働かせることを許可したりして、私企業や官公庁の青田刈りを推奨する制度を作るべきだと思う。」

 私の知り合いには博士課程を修了した知り合いがほとんどいないので、博士課程を卒業した優秀な学生がどういう特徴を持っているのかわかりませんが、学部生時代に教授の突っ込みが厳しいと思われる研究室にいた彼が、広い知識を持って、非常にロジカルに話している様を見ると、そのような環境を長く経験してきた博士課程の方々が、その能力をいかんなく発揮できるような仕事に就くための支援は、もっとした方が良いと思いました。

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